新・歌舞伎町ガイド

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音楽サーキットイベント『CONNECT歌舞伎町 2022』① 北和真、チャラン・ポ・ランタン、極東飯店、水曜日のカンパネラ、RED ORCA

DATE : 2022.05.24

「歌舞伎町の音楽シーンをもっと盛り上げよう!」という熱い思いに共感した、歌舞伎町のライブハウスと歌舞伎町商店街振興組合が手を組み、2014年よりスタートした、歌舞伎町最大規模のサーキットイベント『CONNECT歌舞伎町 2022 』が4月29日に開催された。5周年を迎えるはずだった2020年、そして2021年は新型コロナの影響で開催が中止。3年ぶりの開催となった今年は、6店舗7ステージにて、全61組のアーティストが白熱のライブを披露した。「新しい時代を受け入れながらも、みんなで音楽を楽しめる場所を作り直そう!」と、新たな決意と覚悟をもって開催された『CONNECT歌舞伎町 2022』の模様をレポートする。

北 和真

Photo by Shigeo Gomi(STRO!ROBO)

大人気カラオケアプリ「KARASTA」オーディションで優勝し、今日の出演権をゲットした北和真が新宿LOFT一番手として登場。1曲目から芯の太い声色から女性的なファルセット・ボイスまで、高低差激しいヴォーカルで観る者を惹きつける。歌声そのものでストーリーを作り、時にシアトリカルな雰囲気を醸し出す表現力にも驚いた。また、ビート強めのダンサブルなトラックの上でも変幻自在の歌をアピール。

Photo by Shigeo Gomi(STRO!ROBO)

後半に差し掛かると、「仕事は小学校の教師です」とMCを挟み、玉置浩二の「行かないで」、中村 中の「友達の詩」とカヴァーを立て続けに披露。そこでは、落ち着きを払った妖艶な歌声を存分に響かせる。トリッキーな曲調だけではなく、真の力量が問われるバラード・ソングにおいても、確かな歌声で観客の心を掌握していた。(荒金良介)

チャラン・ポ・ランタン

Photo byスズキメグミ

ステージを仄暗く照らす照明に小春(accordion)の幻想的なアコーディオンの音色が鳴り、もも(Vo)の伸びやかな歌声が会場に響く。新宿BLAZEのトップバッターを飾ったのは、チャラン・ポ・ランタン。1曲目「空が晴れたら」で観客の心をガッチリ掴み、たった二人で広い会場を一瞬で自身の世界に染める。「みなさん、ようこそおいで下さいました!」の挨拶に明るく曲調が変わると、「置行堀行進曲」で掛け声に合わせて観客が手を振り、「71億ピースのパズルゲーム」のアップテンポな曲調とももの煽りに会場中が手拍子を合わせ、みんなが笑顔になっていくのがマスク越しにも分かる。

Photo byスズキメグミ
Photo byスズキメグミ

姉妹の息の合ったMCではチャラン・ポ・ランタンの初ステージの話など新宿との深い関わりを話したり、新宿を舞台とした「新宿で映画を観る」を披露したりと、この日ならではの展開も楽しかった彼女らのステージ。後半戦は「進め、たまに逃げても」で始まるメドレーで大いに沸かせ、ラストは終わりと始まりを高らかに歌い上げた「旅立讃歌」で前向きに壮大にフィニッシュ。ここから始まるイベントへの期待が高まる、楽しく素晴らしいステージだった。(フジジュン)

極東飯店

Photo by Mika Nagaoka

登場SE「I Ain’t Superstitious」に導かれ、新宿Marble三番手で現れたのは極東飯店だ。フロアは彼らの注目度を裏付けるように既にパンパン状態である。「嫌」で幕を開けると、疾走感抜群の演奏にキャッチーな歌メロが乗り、観客もノリノリで騒ぐ有様だ。

そして、オルタナ・ロック界の名エンジニアであるスティーヴ・アルビニの名を引用した「シカゴ・アルビニ」では殺気立つ演奏で大暴走。人懐っこいポップさだけではなく、一筋縄では行かない音楽オタクぶりも発揮する。特に私立のガキ(Gt)はアフロ頭のルックスに加え、マラカス片手に踊り狂いながら、奇怪なギターフレーズをバシバシと弾き倒す。その様子はAT THE DRIVE-IN を彷彿させるカオティックなロックのヤバさに満ちていた。かと思えば、「Mia,I’m ready」では再びRAMONESやDAMNED に通じる魅惑のパンク・サウンドを炸裂。一度ライヴを観れば、ヤミツキになってしまう期待の新人バンドと言えるだろう。(荒金良介)

Photo by Mika Nagaoka

水曜日のカンパネラ

Photo by 池谷睦美(Mutsumi Ikeya)

そぼ降る雨の中、開演前には新宿MARZの前に行列ができ、フロアは満員御礼! 久々に見た活気あるライブハウスの光景はそれだけで感動的だったし、このイベントの開催意義も強く感じたが。ライブが始まるや、詩羽(Vo)が上階フロアに登場し、1曲目「ナポレオン」を歌いながら下階のフロアへと降臨。観客の合間をすり抜けてステージに上がる演出にみんながざわつく様子も、生ならではのライブ感を感じて嬉しくなってしまった。

Photo by 池谷睦美(Mutsumi Ikeya)

詩羽がステージにたどり着き、「アリス」で本格スタートした水曜日のカンパネラのライブ。詩羽の軽やかなステージパフォーマンスや軽快なダンスビート、後方スクリーンに映る映像やライティングを巧みに使った演出で観る者を大いに魅了。観客がそれぞれの楽しみ方で自由にライブを楽しむ中、「ディアブロ」に振り付けを合わせたり、「織姫」にスマホの光で照らしたりと、規制のある中でもしっかり一体感を生み出した水カン。ステージに巨大招き猫が登場した「招き猫」で終わるラストもはちゃめちゃで、最高に面白かった!(フジジュン)

Photo by 池谷睦美(Mutsumi Ikeya)

RED ORCA

photo byスズキメグミ

本イベントも中盤に差し掛かり、新宿BLAZEに”大型新人”のRED ORCAが登場。金子ノブアキ(Dr)による新たなプロジェクトとして、2019年末に活動を開始。来門(Vo/ROS、SMORGAS)、PABLO(Gt/Pay money To my Pain、POLPO)、葛城京太郎(Ba)、草間敬(Manipulator)と知る人ぞ知る豪華なメンツを揃え、昨年から同道公祐(Gt)も参加。今日のギタリストは同道が務め、「Crow from the sun」で演奏は始まった。

photo byスズキメグミ

百戦錬磨の凄腕集団ゆえ、ド頭から音の”圧”が半端じゃない。来門の言霊ラップ、打楽器と化した京太郎のスラップ、バンドの支柱と言える金子の卓越したドラミングといい、片時も耳目を離せないスリリングな演奏が続く。音楽的には00年前後に隆盛を極めたミクスチャー・ロックだが、彼らはただ過去をなぞっているわけではない。あの時代に培った先鋭的な意志を、現代へ、未来へとアップデートしているのだ。ラスト曲「Night hawk」の躍動感漲るスペクタクルな音像には完全に心を奪われてしまった。(荒金良介)

後編(②スケボーキング、鋭児、THE CHERRY COKE$、鳴ル銅鑼、ニューロティカ、石野卓球)はこちらから≫≫

text:フジジュン、荒金良介