新・歌舞伎町ガイド

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数多くのトップアーティストが大絶賛するオランダ発、若き天才Mesto(メスト)が歌舞伎町のデイイベントでプレイ!

DATE : 2020.03.18

クラブ文化の素晴らしさを若い世代にも知って欲しい。歌舞伎町のナイトライフのイメージを根底から変えるイベントが、さる2/29に開催された。キーパーソンとなったのは昨年WARPの動員最多記録を作ったMesto。フロアを埋め尽くした超満員のファンはオランダからやってきた若きDJのパフォーマンスを堪能した。クラブカルチャーを普及させたいという運営の思いとパフォーマーのメッセージが結実した歴史に残るライブの様子をレポートしたい。

14歳でデビューして以来、次々に世界的ヒットを飛ばしているMestoは現在20歳。

歌舞伎町のナイトクラブWARP SHINJUKUで行われた世界的DJのライブで若者が熱狂したわけ

小雨降る2月末の土曜日。会場となったWARP SHINJUKU周辺に続々と集まる若者たちの大きな目的は、2度目の来日公演となるオランダ人エレクトロニックミュージシャンのDJだ。EDM界を牽引する若き才能を一目見ようと開演が迫るダンスフロアで増殖を続ける人、人、人。会場を埋め尽くしたファンの熱気がカウントダウンで最高潮となったその刹那、満を持してMestoが登場。スターDJが奏でるサウンド、ファンを鼓舞するマイクパフォーマンス、それに負けないほど大きな歓声が会場を包み込んだ。

昨年に続き2度目の来日となるMestoは日本のファンをとても大切にしている

客席には未成年らしき若者の姿が多く見られた。クラブイベントというと夜通し行われるイメージがあるが、今回のイベントは未成年でも入場できるよう16時開演にして、未成年に強く訴求したからだ。音楽の鼓動に体をゆだねた彼らがフロアを揺らす熱量は、昨今のクラブイベントでは感じられないほどの迫力があった。

Mestoを世界的に有名にした盟友オランダ出身のDJ、Martin Garrix (マーティン・ギャリックス)とのコラボ楽曲『WIEE』

この催しを企画したTCPT代表YOSHIMASAさんとTRYHARDのTAKU-HEROさんはイベントの狙いをこう語る。

イベントの企画・主催のYOSHIMASAさん(左)。TAKU-HEROさん(右)さんは東京、大阪公演の主催者。

「海外アーティストの来日公演を発表する度に『昼間にやってください』という未成年からの反応がたくさんあったんです」(YOSHIMASAさん)

現在、飲酒や喫煙などの懸念からほとんどのクラブで未成年は入場できない。しかし、「クラブに行けない若者ほど音楽に対する熱量が凄い」ということに気がついた二人は、未成年でも楽しめるクラブイベントのあり方を模索し始めた。3,000円~4,000円の入場料がネックだという意見に対しては「J-POPの有名アーティストのライブと同等に捉えている」というリサーチが決め手となり、未成年入場可のイベントは十分に成立すると結論づけたのだ。

二人の熱意に応えたMestoが昨年に続き歌舞伎町に降臨。デイイベントはどんどん増えている

2018年の秋、WARP SHINJUKUで未成年者入場可能の「WARP DAY PARTY」がスタートした。「クラブミュージックカルチャーを若者の手に」。未成年でも入場可能なイベントは流行と音楽に敏感な若者たちを中心に話題になった。大きな音に身をまかせ体を自由に動かす楽しさを知った若者たちは、繰り返しクラブに足を運ぶようになったのだ。この日、終演後に新宿駅への帰路につく若者たちの背中は心地よい疲労感と高揚感にあふれているように見えた。

終演後、若いファンに話しかけられるMesto

ステージ上のパフォーマーも刺激を受けているという。若者のエネルギーはステージ上の演者にも伝わり、エキサイティングなステージになるのだとか。

「若い人たちは音に純粋で、最後までぴょんぴょん飛び跳ねて盛り上がっています。どんな音楽でも楽しんでやろうというパワーを感じますよね」(TAKU-HEROさん)。

プレイ終了後のMesto。若者らしい笑顔が弾けている

この日は終演後に「ミート&グリート」と呼ばれるファンとの交流イベントも実施された。憧れのスターを目の前にしたファンからは大きな歓声がもれたが、「普通のかわいらしい若者だね」という声も。自分たちとほとんど年齢の変わらない20歳のパフォーマンスを目の当たりにした彼らはいったい何を思ったのだろう。

ファンとの記念撮影にも気軽に応じる気さくな人柄も魅力的

日本人はみんなが『音楽』を聴きにくる

プレイを終えた直後のMestoにも話を聞いてみた。

―日本に来てくれてありがとう。素晴らしいパフォーマンスでした。

「東京は2回目だったけど、相変わらずアメージングなライブでしたね。人が集まるか心配していたけど、それも杞憂に終わったし。日本人はいつも盛り上がってくれて、本当に素晴らしいオーディエンスです」

「最後に必ず『One More Time』を流すのは、もっともっと楽しみたいのにという僕の本心なんです」

―あなたは親日家として知られているけど、日本のどんなところが好きなのですか。

「カルチャー、フード、何もかもが好きです。だから仕事として来日できるようになって最高の気分です。昔から一番行きたいと思っていた国だったから。日本のクラブで若い子が音楽を楽しんでいる様子も新鮮ですよね」

「今日のイベントは若い子が熱心に僕の音楽を楽しんでくれました」

―なるほど。日本のナイトクラブカルチャーについてどう感じていますか。

「僕の生まれたオランダでは、ビールを片手に思い思いの時間を過ごしながら酒と音楽を楽しんでいます。一方で、日本はみんなが『音楽』を聴きにくる。だからプレーしていて気持ちいいんです。アーティストを目的にわざわざ会場に足を運んでくれるなんてこんな幸せなことはない。日本人は僕の音楽を愛して楽しんでくれるんです。本当にありがとう」

「日本でしかできないパフォーマンスがあるんです」

―ところで、今回は未成年も入場できるライブでした。特別な準備や意識したことはありますか?

「僕がDJをはじめたのは14歳で、もちろんクラブになんて入れませんでした。でも、この日本では若者もクラブで音楽を楽しむことができる。それは幸せなことだと思います。今夜に向けて新曲を3曲用意しましたが、東京で試したいと思っていましたし、若い人に聴いて欲しいと思ったから、ここでしかできない曲を作ったつもりです。新曲をかけたときの反応は……素晴らしかったし自信を持ちました」

「夜の歌舞伎町は安全だしエキサイティング」

―最後に日本、そしてこの歌舞伎町からインスパイアされたことがあったら教えてください。

「この街はスペシャルでエキサイティングで、そしてなによりユニーク。音楽もそうだけど、大事なのはユニークでいることだと思うんです。僕がいつも若い人に伝えているのは、『自分らしくユニークであれ』ということ。自分の才能を信じて常にユニークでいればきっと未来は開けるから。ああ今日は楽しい1日だった。本当にありがとう、また会いましょう」

当日のMestoのデイイベントのパフォーマンスはこちらから

音楽の力で街を元気に。DAY PARTYはこの歌舞伎町からどんどん広がり続けることだろう。

Mesto

本名Melle Stomp。ピアノとドラム演奏ができる父とサクソフォンが演奏できる母の間に生まれる。幼い頃から音楽に触れていたため、14歳の時に楽曲制作を開始。2016年、世界No.1DJ・Martin Garrixとコラボした『WIEE』で一躍有名に。DJ Magが2016年に選んだ「注目の若きオランダ人プロデューサーTOP10」でMestoは1位に。ファンから「Future Bounce(フューチャー・バウンス)」と呼ばれる独特の楽曲が世界中で評価されている。

text:キンマサタカ
photo:豊田哲也