【Interview】Vol. 24 初めての芝居で知った“無力感”を糧に、最前線を目指す──櫻井海音、20歳の決意

文:西森路代
2021.09.03

俳優×歌舞伎町連載、今回登場するのはドラマー・俳優の櫻井海音。バンド「インナージャーニー」で活動しながら、2020年に出演した恋愛リアリティショー『オオカミくんには騙されない』で一躍注目を浴びる。その後、俳優として連続テレビ小説『エール』や『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!』などの話題作に出演を重ねてきた。今年5月に個人での活動名義を「Kaito」から現在のものへと改名した新星を、さまざまな男性俳優の写真が話題のフォトグラファー荒木勇人が撮影。新たな顔を見せる櫻井に、いま目指す道程を聞いた。

— 今日の撮影では新宿や歌舞伎町のかなり裏通りまで行きましたが、櫻井さんは新宿や歌舞伎町の思い出はありますか?

歌舞伎町にはバンドのライブで来ることが多いんです。新宿Marbleとかでよく演奏しましたね。そのときに、ライブハウスの周辺を散策したり、ライブ前にタピオカドリンクを買ったり、TOHOシネマズでポップコーンだけ買ってきたりしていました。あと、ドラムショップもあるので、そこに行ったりも。

— 撮影では、フォトグラファーの荒木さんから表情や動きをすごく褒められていました。どんなことを考えながら撮られていたんでしょうか?

実は歌舞伎町と戦ってるつもりで撮ってもらっていました(笑)。戦って負けてるイメージで。最近、スチール撮影の仕事があまりなかったんです。でもこの間、久しぶりに撮影をしたときに「ブランクがあるからうまくいくかな」と心配していたんですけど、演技の仕事をしていたからか、逆に振り幅が広くなっている気がして。「ああ、最近の仕事が作用しているんだな」と思いました。

— 櫻井さんは現在、バンド「インナージャーニー」で活動しながら、個人で俳優としてもお仕事されています。昔から、人前に出る仕事をしようと思っていたんですか?

逆にそれ以外の選択肢が頭になかったというか……。もともとはサッカー選手になるのが夢でした。それも人前でプレーする仕事ですよね。バンド活動は高校3年生で始めて、いろんなバンドのサポートメンバーとしてやっていたら、今のバンドに出会いました。俳優も、その延長線上にあるという感じなんです。

— 個人として俳優活動をするようになったのは、どういう経緯があったんですか?

バンドは結成してすぐにコンテストで決勝まで行くことができて。それで注目していただいたことで、月に10本くらいはライブをしていたんです。でもそこから半年くらいでコロナ禍になってしまい、ライブ活動が止まってしまったんですね。ちょうど高校を卒業したばかりの頃でした。バンドとしてYouTubeを始めたり宅録でデモを作ったり、試行錯誤もしていたんですが、やっぱり家で過ごす時間が増えていろんなことを見つめ直していたときに、個人の仕事のお話をいただきました。

— 個人として最初のお仕事が、『オオカミくんには騙されない』(ABEMA)だったんですね。

そうです。一人でも前に進まなければと思って、恋愛リアリティーショーにチャレンジしました。この番組をきっかけに、いろんなお仕事をいただきました。去年1年間は、10代の最後の年だったので、恋愛リアリティーショーやお芝居、ラジオなど、いろんなことにチャレンジしてその中で自分のやりたいことを見つけたいなと思って活動していました。その結果、音楽のほかに、お芝居を一生懸命やっていきたいという気持ちが芽生えてきて。そのタイミングで20歳を迎えたこともあって、個人としての活動名義を改名したという流れです。

— 『オオカミくんには騙されない』を拝見して、恋愛模様を追うというよりは、参加している全員の人間関係が描かれているんだなと思いました。

出演者がみんな同じ世界で頑張る同世代の人たちだったので、友達として高めあったり話したりする時間が楽しかったです。

— 櫻井さんは、その中でもすごく優しいイメージでした。こういう番組はご自身の素の部分も出ると思うのですが。

そうですね。素の部分もあり、でもエンタメであって切り取り方もあるので、そういう境界線というのはよくわからないんです。自分では、そんなに優しいってこともないのかなと思ったりします。

— 番組を観ていてもバンド活動を見ても、男女分け隔てない感じなんだなということは思いました。

そうですね。学生時代の環境が、男女の隔たりがあまりにもなくてすごくフラットだったんです。そういうところは今も残ってると思います。

— そして今年は、俳優活動がいよいよ本格的になってきています。

最初は演技の「え」の字もわからないような状態で撮影現場に足を踏み入れていました。自分はわりと、なんでも卒なくこなせるタイプだと思ってたんです。でも、初めてお芝居をしたときに「こんなに何もできないのか」と無力感をおぼえて。なにくそという精神じゃないですけど、そこで「もっとちゃんとトライしてみよう」という気持ちになりました。

—それはどの現場でのことですか?

『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!』(TBS)です。人生で最初の台詞が星野源さんの前ということで、ものすごく緊張しました。

— 7月からは『ナイト・ドクター』(フジテレビ)に出演中です。いろんな先輩に囲まれて、どんなものが得られましたか?

最初は自分のことだけで必死だったんですけど、今の月9のドラマでは、先輩方ともお話させてもらう機会も多くなりました。今後の俳優人生において、指針になるような話もいっぱいさせていただきました。特に北村匠海さんは、バンド活動をしながら俳優活動もされているということで境遇が近いので、僕も北村さんのように両方極められるようになりたいなと思いました。

— 音楽活動をしていることが演技に活かされていると実感するときはありますか?

どっちの活動も、お互いにうまく作用しているような気がします。どっちも表現だし。バンドでは、サウンド面も大事にしながら、ドラマーとして、ライブや映像でお客さんにどう見えるのかも意識してるんです。自分がどう動けば周りやお客さんがどう動くのかをチェックして試行錯誤してきました。そういう部分はお芝居に活かせるし、近いものがあるなと思っています。

— 今日の撮影中、「1日で映画を6本観た」と話されていたのを耳にしました。どんな映画を観たんですか?

実は先日2回目のワクチンを打ったばかりで、しばらく家にいる時間が長くて。それで6本も映画を観てしまいました。今はミステリーやサスペンスにはまっていて、全部邦画になるんですが、香川照之さんや役所広司さんの出演作を観ていました。今までは「憧れの存在は誰ですか」と聞かれてもあまり答えられなかったのですが、最近このお二人のことをかっこいいと思うようになって、作品を片っ端から観ています。

— 観た中で特に印象に残っている作品は?

『孤狼の血』がもう面白すぎて。今日の撮影も、そのイメージで動いていました。役所さんの作品でほかには『渇き。』もいいなと思ったし、香川さんだと『クリーピー 偽りの隣人』が好きでした。

— 櫻井さんが今のお二人の年齢になるまでには30年以上時間があります。それまでにやってみたいのはどんな役ですか?

やっぱりサスペンスに出てみたいです。追い詰めて、追い詰められるような役に挑戦したいですね。例えば『ミュージアム』の小栗旬さんのような。

— 今は20代になったばかりです。ここからはどんなふうに活動していこうと思っていますか?

音楽と俳優と、この二つを柱にやっていくことは決意しているので、どっちの分野でも最前線に立てるように。もちろん簡単なことではないけれど、時間をかけて理想に近づいていけたらなと思っています。

櫻井海音(さくらい・かいと)

2001年生まれ、東京都出身。バンド・インナージャーニーのドラマー、俳優。主な出演作にNHK連続テレビ小説『エール』(2020年)、『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!」(2021年)、『ナイト・ドクター』(フジテレビ)ほか。現在、『王様のブランチ』(TBS)、『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』(J-WAVE)にもレギュラー出演中。

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衣装協力
シャツ ¥28,800/ネイタルデザイン(スキャターブレイン TEL03-5300-8164)、Tシャツ ¥18,700/アトウ、パンツ ¥25,300/アタッチメント、シューズ ¥41,800/クルニ(シアン PR TEL03-6662-5525)、ジャケット/スタイリスト私物

ドラマ『つまり好きって言いたいんだけど、』

出演:大原櫻子、櫻井海音ほか
原作:円城寺マキ
監督:棚澤孝義、古林淳太郎 島田伊智郎
脚本:梅田みか
放送:テレビ東京ほかにて10月6日より毎週水曜0時30分〜/動画配信サービス「Paravi」にて9月29日21時〜毎話独占先行配信

公式サイト

【Interview】Vol. 24 初めての芝居で知った“無力感”を糧に、最前線を目指す──櫻井海音、20歳の決意

Photo:荒木勇人
Styling:藤井晶子
Hair&Make:高草木剛(ヴァニテ)
Text:西森路代
Edit:斎藤岬

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