【Interview】Vol.34「一緒の鍋に入れても成立させてくれる」唯一無二のスタイルを貫く水曜日のカンパネラが見た新宿・歌舞伎町<前編>

文:ナカニシキュウ
2022.03.17

2021年9月、初代ボーカリスト・コムアイの脱退を受けて2代目・詩羽が電撃加入した水曜日のカンパネラ。今年2月に新体制での2ndシングルとなる『招き猫/エジソン』をリリースし、4月には「CONNECT歌舞伎町2022」への出演も決定している。活動初期には新宿を拠点にライブ活動を展開していた彼らにとって、そして新加入の詩羽にとって、この街はどういう意味を持つ場所なのだろうか。詩羽、Dir.Fの2人に話を聞いた。

いろんなカルチャーが交差するエリア

— 新宿・歌舞伎町という街には、水曜日のカンパネラとしてどんなふうに接してきたんでしょうか。

Dir.F:活動初期の2014年〜2015年ころ、新宿LOFTさんとかMarbleさん、MARZさんなどでライブをやらせていただいていたんです。なので新宿は活動拠点のような感じでしたね。

— グループの方向性と街の雰囲気がフィットしたわけですか?

Dir.F:例えばですけど、新宿でやっている音楽と渋谷でやっている音楽はちょっと違っていて……、もちろんハコによっても違うんですが、大きく括ると新宿にはわりと“ロキノン系と語られる邦ロックではない人たち”の居場所があったような気がするんです。当時で言うとSuchmosさんやYogee New Wavesさんなどのその当時はメインストリームではなかった種類のロック系のバンドだったり、DAOKOさんなどのラップ系の女性アーティストなど、大雑把に言うと水曜日のカンパネラも含め当時は“サブカル”に括られるような人たちが切磋琢磨していました。当時はちょうどアイドルカルチャーも“アイドル戦国時代”と呼ばれる時期にも入っていたこともあって、いろんなジャンル、今まで見たことのない変わったジャンルのアーティストがひしめき合っていたんです。

— ライブハウスの経営がバンドだけでは成り立たなくなっていって、どんどんアイドルがブッキングされるようになっていった時代ですね。その潮流の先陣を切っていたのが新宿であったと。

Dir.F:それがだいたい、2010年代の前半から半ばくらいですかね。それと、コムアイがわりと新宿を好きだったんですよ。音楽以外でも落語が好きだったり、ゴールデン街、ドラァグクイーンなどのカルチャーも好きな人で。そういうカルチャーが新宿には多かった。

— たしかにコムアイさんは新宿が似合う方ですね。

Dir.F:新宿LOFTさんでカンパネラ主催のライブをよくやっていた時期があるんですが、そこでも音楽だけじゃなく活弁師の山田広野さんや、当時まだ駆け出しだったぼく脳さんに参加いただいたりしていました。それこそ鹿の解体(食と命を考えるため)をやらせてもらえたりとか……。そんなふうに、いろんなカルチャーが交差するエリアという認識でしたね。

— 一方、詩羽さんにはあまり新宿の匂いを感じません。今にも原宿にいそうな人というか。

詩羽:そうですね(笑)。都心のほうへ出てくるようになったのは高校生くらいの頃なんですけど、行くとしたら渋谷とか原宿でした。そういうポップなところに行くほうが多くて、新宿は用がないとなかなか来なかったですね。あ、でも「珈琲西武」っていう喫茶店にはちょこちょこ行きます。パフェがおいしくて(笑)。お店の雰囲気もめちゃめちゃよくて……ステンドグラスっていうんですかね? ああいうのが窓にあって、すごく素敵なお店なのでお気に入りです。

— いいですね。では、歌舞伎町という街にはどんなイメージがあります?

詩羽:うーん……、めちゃめちゃ本音だと、危ないところ(笑)。

— やはり、そういうイメージがあるんですね。

詩羽:ありますあります。

— あくまで個人的な感覚なんですが、昔は本当に怖い街というイメージだったのが、ここ20年くらいでものすごく健全になった印象があるんです。だから、いま20歳くらいの若い人にはあまり怖いイメージはないんじゃないかなと思っていたんですが……。

詩羽:たしかに、周りの同年代の会話の中でも「こないだ歌舞伎町のあたりで……」って普通に出てきますし、それを考えると若い人にも身近な場所になりつつあるのかな。私にとってはまだ未知の部分も多くて、どちらかというと“大人がお酒を飲みに行く街”みたいなイメージが強いです。お酒のおいしいお店とか、面白いお店がたくさんありそう。私はまだ20歳ということもあって、ご時世的な意味でもお酒を飲みに行く機会そのものがそんなにないんですけど、今後行く機会が増えればまたイメージも変わってくるかもしれないですね。

ライブハウス“新宿Marble”前にて

新宿は信頼できる街

— Dir.Fさんは歌舞伎町の変化について、どんなふうに感じていますか?

Dir.F:僕は大学が京都だったので、それからこっちに来て……15年くらいになるんですかね。だから体感している歌舞伎町はわりと最近のものだけなんですよ。噂で聞くような危ないシーンとかもリアルなものとしては知らないですし、「怖い」というイメージは僕もあまりないですね。

— なるほど。好きなスポットなどはありますか?

Dir.F:僕は花園神社の酉の市によく行ってます。去年は行けなかったんですけど、楽しいですよね。都心の街中にドーンと神社があってちゃんと祭りがあるっていうのが、なかなかほかのエリアでは見られない光景なのかなと。

— たしかにそうかもしれません。

Dir.F:文化が残っていく、変わらないことのよさがありますよね。ゴールデン街とかも、あまり大きくは変わらないじゃないですか。僕は仕事のときは渋谷にいることが多いんですけど、渋谷はどんどん変わっていっちゃうんですよ。新宿にはわりと「残すところは残す」みたいな姿勢を感じるので、そういう意味では信頼できる街なのかなと思います(笑)。

— ゴールデン街みたいなものって、ほかの街だとなかなか残らないですよね。

Dir.F:それこそ渋谷だと、宮下公園がMIYASHITA PARKになり、当時のそのまま残っているのがのんべい横丁くらいで。

— 下北沢駅前のレトロな横丁もなくなっちゃいましたし。

Dir.F:もちろん、変わることがダメだとは思ってないですけどね。いろんな世代のいろんな価値観がゴッチャになっているのが新宿の面白いところだと思います。新宿って、東京で一番外国の方が多く住んでいる街でもありますよね。あらゆる人が受け入れられやすいエリアであることが、カルチャーにも結びついているんだと思うんです。アンダーグラウンドなものだったり、ニッチなカルチャーも受け入れられる土壌があるんでしょうね。

— だからこそ水カンとしても馴染みやすかった?

Dir.F:そうですね。うちはちょっと特殊なアーティストだと思うんですよ。バンドでもないし、アイドルでもないし。それを一緒の鍋に入れても成立させてくれるような、懐の広さがある場所かなと思いますね。

肝が据わっているとよく言われる

— 水曜日のカンパネラは、今年4月に歌舞伎町で開催されるサーキットイベント「CONNECT歌舞伎町2022」への出演が決定していますね。

Dir.F:詩羽になってから新宿ではライブをやっていなかったので、是非参加したいなという気持ちがありまして。それが「CONNECT」だとすごくありがたいなと思いました。

— コムアイさん時代の2014年にも出演していますが、そこでいい印象が残っているわけですね。

Dir.F:屋内外を含めたサーキットイベントを新宿でちゃんとできるということが素晴らしいなと思いました。そのときは野外ステージがあって、そこが起点になっていろんなパフォーマンスを観られるというのがすごくよくて。普段はライブハウスってアンダーグラウンドじゃないですか。そこでやっている人たちが一般の人の目に触れる機会を持てるという意味でもすごくよかったんですけど、今年は野外ステージがないらしくて……。

— どうしても人を密集させてしまいますからね。コロナ禍が続く中、今年に関しては「とにかく実施する」を最大の目標として行われるそうです。

Dir.F:なるほど。野外ステージが大きな魅力のイベントではあるけど、そこにこだわって開催しないことを選ぶよりは、「まず開催しよう」ということですね。

— 詩羽さんは「CONNECT」に対してどんな思いがあります?

詩羽:新宿は普段あまり来ない場所ということもあって、どんな雰囲気になるのか、自分がステージに立ったときにどんな感じになるのか想像はつかないんですけど。新しい挑戦になりそうだなって感じていますね。

— ちなみに詩羽さんが加入してからのライブは、現状、手ごたえとしてはどうですか?

Dir.F:まだ10回もやってないくらいですけど……、順調だと思います。

詩羽:私が入ってからできた曲はもちろんなんですけど、今まであった曲も、私が歌いたいものを選んで歌わせていただいているんです。少しずつその全部を自分らしく表現できるようになってきてるのかなと思います。ライブは楽しいです。

— もともとライブをやりたかったタイプの人なんですか?

詩羽:水曜日のカンパネラになるまでは音楽を本業にしようと思ってなかったので、「ライブをやりたいな」と思って生きていたことはないです(笑)。

— だとすると、最初のステージに立つときは怖かったのでは?

詩羽:いえ、そんなに。もちろん緊張はしましたけど、そこまで重いものを背負っている感じはとくになくて。わりと自分のやりたいように、楽しくステージに立てていると思います。もともと人前に出るのは苦手だったんですけど、今は「人前に立つからこそ、できることが多いな」と思うようになったので、「立っていたいな」という思いがありますね。

— けっこう肝が据わっているんですね。

Dir.F:そうですね(笑)。

詩羽:よく言われます!(笑)

(水曜日のカンパネラが揺るがない理由とは……<後編>に続く)

2022年2月25日「招き猫/エジソン」

水曜日のカンパネラRELEASE PARTY〜LET’S PARTY2〜

2022年4月6日(水)
タイトル:LET’S PARTY 2
場所:clubasia
開場/開演:19:00 / 19:30
チケット:¥3,500(ドリンク代別)
一般発売:3/16(水)10:00〜
https://w.pia.jp/t/wed-camp/

水曜日のカンパネラ(すいようびのかんぱねら)

2013年からコムアイを主演歌唱とするユニットとして始動。メンバーはコムアイ(主演)、ケンモチヒデフミ(音楽)、Dir.F(その他)の3人だが、表に出るのは主演のコムアイのみとなっていた。2021年9月6日にコムアイが脱退、新しく主演/歌唱担当として詩羽が加入し、新体制での活動がスタート。同年10月27日に新体制後の新曲『アリス/バッキンガム』をリリース。
12月8日(水)にWALL&WALLで開催した新体制初の主催リリースパーティー<LET’S PARTY>は一般発売後数分でSOLDOUT。
2022年2月25日には詩羽体制2度目の2曲同時リリースで「招き猫/エジソン」をリリース。4月6日(水)にはclubasiaで再びリリースパーティー<LET’S PARTY 2>を開催。

CONNECT歌舞伎町2022

開催日 :2022年4月29日(金・祝)
開場  :12時
開演  :13時~22時 ※タイムテーブルは後日発表
会場  :新宿BLAZE / 新宿LOFT / MARZ / Marble /Zirco Tokyo / shinjuku SAMURAI
主催  :コネクト歌舞伎町実行委員会 / 歌舞伎町商店街振興組合

公式サイト
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前売りチケット
◇前売り券  4800円
◇当日券   5500円 ※フェスティバル当日に指定の窓口で販売。詳細は後日発表。
e+ チケット販売ページ

※新型コロナウイルス感染症拡大防止対策については、本フェス開催の1ヶ月前に、その時節に適用されているガイドラインに準じた対策を発表します。

【Interview】Vol.34「一緒の鍋に入れても成立させてくれる」唯一無二のスタイルを貫く水曜日のカンパネラが見た新宿・歌舞伎町<前編>

text:ナカニシキュウ
photo:落合由夏

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