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【鋭児】謎多き新世代ミクスチャーバンド│みのミュージック注目アーティストVol.07

歌舞伎町

インタビュー
みのミュージック注目のアーティスト 音楽
DATE : 2022.04.27
音楽紹介を行う人気YouTubeチャンネル「みのミュージック」を運営するYouTuberであり、新宿歌舞伎町でレコードBAR「烏龍倶楽部」 (※)を経営する「みの」さん。会員に限らず音楽と酒を自由に楽しめるバーとして再始動した烏龍倶楽部で、みのさんが今注目しているアーティストを紹介してもらう連載第7回。今月のアーティストは「鋭児」(えいじ)です。

「烏龍倶楽部」

ギラギラとしたエッジーなミクスチャーバンド

— 今回紹介いただく鋭児は、どんなアーティストですか?

鋭児は現時点でEPが3作品しか出てないうえに情報が少ないので、うまく言語化するのが難しいんですけど、無理矢理ひとことで言うなら「めちゃくちゃギラついたKing Gnu」って感じがしますね。

近年「Suchmos以降」とも表現できるような、ミクスチャー系アーティストの一群がいます。広い視点で見ればWONKとかBREIMENなども含まれていて、その中でもKing Gnuが最もロック度が強いバンドという印象です。この鋭児はその一群の中でも、最もテストステロンが出てギラついている、エッジの立ったミクスチャーバンドではないかと思います。

鋭児 – 銀河 (Official Music Video)

— さまざまな音楽の要素を取り込んだミクスチャーバンドでありながら、楽曲によってガラリとサウンドが変わりますよね。

そうなんです。インタビューを読むとレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやレッド・ホット・チリ・ペッパーズといったミクスチャーバンドの王道から、個人的に「俺の世代のバンド」と言いたくなるアークティック・モンキーズやフランツ・フェルディナンドなんかも好きみたいなんですけど、鋭児はそれらからの影響を受けながら彼らの世界にしか存在しない独自のサウンドを展開していると思います。

spotify /Apple Music

中でも「$uper $onic」って曲は、俺からすると初期のアークティック・モンキーズにミクスチャー感をプラスして、さらにパンクに仕上げたような楽曲で、すごくおもしろいなと感じましたね。

不思議な部分が多い、ミステリアスなバンドでもある

— しかし現時点ではまだまだ謎が多いバンドですよね。

色々と不思議なところがあるバンドで、僕も本当に教えてほしいぐらい(笑)。

— (笑)。

その中でもおもしろいのが、もうソロ活動してるメンバーがいることですね。F.KIYOSHIっていうマニピュレーターの方がソロアルバムを出していて、ループとかサンプリングを使いまくってるDTM的なプロジェクトですごくカッコ良いんですよ。

F.KIYOSHI “果実”

このアルバムは彼が鋭児にどんなレイヤーを足しているかがわかる、ある意味ヒントでもあると思います。

— 新人バンドでありながらも……

もうソロアルバムが出ている(笑)。でも、インタビューでPERIMETRON(King Gnuの常田大希が主宰するクリエイティブチーム)についても言及しているようですし、millennium parade(同じく常田大希が主宰する音楽プロジェクト)みたいなバンドというよりもコレクティヴ的要素が強いバンドなのかもという気がしますね。

millennium parade – NEHAN, Fly with me (Live at TOKYO GARDEN THEATER)

— コレクティヴ感はありますよね。

その一方でライブ映像を観るとかなりパンク感があるんですよ。特にフロントマンの方にパンク的な華がありますね。

鋭児 – Fire (Live at TOKIO TOKYO)

— そして、歌が上手い。

そうなんですよ。それも含めて「これから来るんじゃないか」って気がしますね。

「King Gnu以降」を歩む鋭児は、どこへ向かうのか

— おすすめの曲を一曲選ぶとしたら?

「Lisa」ですね。「$uper $onic」もかっこいいし、他の曲もいいし、彼らの音楽性は一個に断定できないから「これが本質」と一曲挙げるのは難しいんですけど、現状で強いて一曲選ぶなら、比較的素直なミクスチャーサウンドかつヴォーカルの力量がこれでもかと発揮されている点で「Lisa」じゃないかと思います。

鋭児 – Lisa(Music Bar Session)

— 今後彼らにどんなことを期待したいですか?

最初にKing Gnuの話をしたいんですけど、彼らの特殊な部分って常田大希が日本でポップスをやることに自覚的で、むしろ「J-POPやります」くらいの感じじゃないですか。例えば「白日」とか「逆夢」は、そのJ-POPに対して自覚的な部分がストレートに出た楽曲ですけど、たまにすごく尖った曲を出したりもしますよね。そうしたバランス感覚含め、King Gnuはすごく色々考えてやっていると思います。

King Gnu – 白日

鋭児はそういうバランスを考えてある程度大衆に寄り添いつつも自分達のアートを貫くのか、0から100まで突っ張るのか。そこで大きく変わると思うので、そこをどう舵取りするのかが気になります。

— 日本で音楽をやる上で、J-POPとの距離感は大きな課題ですよね。

90年代初頭のアメリカでは、ニルヴァーナが売れてからそれまで売れるわけのなかったシアトルのバンドまで売れたという現象がありました。それが日本で起こるとしたら、King Gnuの後に出てくるアーティストは鋭児だと思います。King Gnu以降のバンドが、King Gnuにおける「白日」みたいな曲を作らなくても売れるのかどうか。その判断は僕にはできないけど、段々とそういうサービス精神が求められなくなってきている気もするので、シーンがガラッと変わるのもありえるかもしれないですね。

鋭児はまだ音源も少ないですけど、今後、俺みたいに「紹介したい」って人がバンバン出てくると思うので、ぜひ早めにチェックしてほしいです。

鋭児 – IGNITE (Official Music Video)

そして、最近公開された「IGNITE」という新曲も良いですね。彼らはまだまだ手札を沢山持っています! これまでに無かった、反復から生まれる陶酔を追求したナンバー。しかし、後半にかけて臨界点を突破する。意外にも着地した先は世界規模のメッセージ。ぜひ耳を傾けてみてください。

鋭児さんからのコメント

今回、特別に鋭児さんから「みのミュージックさんへ」という曲にのせてメッセージをいただきました!

みのさんからのコメント

ラップのプレゼントありがとうございました。
ユーモアとエネルギー溢れる表現!スタジオでの熱気をそのままパッケージした内容に、今後発表される作品がますます楽しみです。

鋭児

Vo.御厨響一 Gt.及川千春 Ba.菅原寛人 Key.藤田聖史 Dr.市原太郎
2019年渋谷のストリートでセッションする中で出会い結成
2021年1月 1stEP「銀河」4月 2ndEP「Fire」リリース

5月 Love Music「フジテレビ」ニューカマーコーナーにて紹介
7月 つくばロックフェス出演
9月 BAYCAMP@新木場スタジオコースト出演
10月 3rdEP「連理」リリース 12月 渋谷WWW Sold Out

Altanative Rock,Soul,Hiphop,Electroなどを混ぜたようなバンドの既成概念を壊すジャンルレスな音楽性とJAMをしながら作り上げていくリアルを追求するライブパフォーマンスが特徴的である
鋭児はVo.御厨の尊敬する祖父の名前である

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みのミュージック

YouTubeチャンネル「みのミュージック」は現在33.3万人登録者を誇り、自身の敬愛するカルチャー紹介を軸としたオンリーワンなチャンネルを運営中。
Apple Musicのラジオプログラム「Tokyo Highway Radio」でホストMCを務めており、今年5月には自身初となる書籍「戦いの音楽史」を発行し活動の場を広げている。

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Tokyo Highway Radio

text&photo:照沼健太

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